連日ニュースで話題になっていた所得控除の引き上げについて、皆さん一度は耳にしたことがあるかと思います。

　なんとなく税金が安くなるという認識はあっても、詳しく理解されている方は少ないかと思いますので、今回は160万円の壁を題材にお話ししていきたいと思います。

 

 

☆103万円の壁

　まず前提知識ですが、従来の103万円の壁とはお給料から所得税が引かれ始める収入です。

　一年間で103万円以上稼ぐようになってしまうと、お給料から概算で所得税が引かれ始めるため、働き控えが起こってしまう現象が起きていたのです。

　詳しくは過去に私の記事で103万円の壁について取り扱っておりますので、そちらをご確認ください。

🔍103万円の壁ってなに？ | 札幌の税理士｜すずらん総合マネジメント スタッフブログ

 

 

☆160万円の壁

　基礎控除と給与所得控除を合わせて103万円の壁と呼ばれておりましたが、

　　基礎控除　・・・・48万円→95万円（47万円上昇）

　　給与所得控除・・・55万円→65万円（10万円上昇）

　上記のように改正されました。

今回の税制改正で一番注意すべきは、103万円の壁が単純に160万円の壁に引きあがったというわけではありません。

　給与収入に応じて基礎控除のラインが下記の通りかわってきます。

 

　　　　　　～200万円以下・・・・95万円（＋47万円）（※１）

200万円超～475万円以下・・・・88万円（＋40万円）（※２）

475万円超～665万円以下・・・・68万円（＋20万円）（※２）

665万円超～850万円以下・・・・63万円（＋15万円）（※２）

850万円超～2,545万円以下・・・58万円（＋10万円）

※１．恒久適用

※２．令和7年、8年のみ。令和9年以降は2,350万円以下であれば基礎控除が一律58万円。

 

少し煩雑で我々もすべて覚えることはなかなか難しいですが、そもそも所得税は超過累進課税制度といって、所得が増えるにつれて負担していただく税金を増やし公平性を保とうとするものなので、やむを得ない決断であるということをご理解いただければと思います。

 

まとめ

　今回税制改正されたのは所得税だけであり、住民税や社会保険料の壁に現状変更はありません。

また、所得税の税制改正はR7.12月の年末調整で実施されるため、毎月天引きされる所得税に変動はありません。

いつも以上に年末調整で返ってくる所得税が多くなりますので年末の給与明細を意識してみてはいかがでしょうか。（※期待のし過ぎには注意が必要です）