2025/07/10
日記
中小企業が新しい設備を導入し、経営力を高めるための制度として注目されているのが経営力向上計画です。
国から認定を受けることで、税制上の大きな優遇を受けられるのが特徴です。
特に知っておきたいのが、減価償却の即時償却と法人税額控除という2つの特典があります。
この特典はいずれか選択適用となりますので注意が必要です。
また、税額控除には「全額使えない場合、翌年度への繰越」という仕組みもありますので、その点も含めて解説します。
〇減価償却の即時償却とは?
通常、機械や設備は耐用年数に応じて何年かに分けて減価償却しますが、経営力向上計画の認定を受けた設備の場合、
取得年度に全額を一括して損金算入(即時償却)できます。
このメリットは非常に大きく、
•設備を導入した年度の課税所得を大幅に圧縮
•結果として法人税の負担を大きく減らせる
という効果があります。
特に黒字決算の企業にとっては、法人税負担を削減しながら設備投資を行えるので非常に有利です。
デメリットとしては、初年度で全額減価償却を行うこととなりますので、
当然に次年度以降は減価償却費を計上できる金額が無いので注意が必要です。
〇法人税額控除とは?
さらに、即時償却ではなく税額控除を選択することも可能です。
•中小企業の場合:対象設備の取得価額の10%
•資本金3,000万円超~1億円以下の中堅企業の場合:7%
例えば1,000万円の機械を導入した場合、
•1,000万円 × 10% = 100万円
この100万円を、その年度の法人税額から直接控除できます。
損金算入による節税とは違い、法人税額そのものを減額できるという点が大きな魅力です。
※ 税額控除が全額使えない場合
税額控除には次のような制限があります:
•控除限度額:その年度の法人税額の20%まで
•控除しきれない分は翌年度に1年間だけ繰越可能
つまり、もし控除額が法人税額の20%を超えてしまうと、その年は全額控除できません。
例:
•設備取得価額1,000万円 × 10% = 控除額100万円
•その年度の法人税額が300万円の場合 → 控除限度額は300万円 × 20% = 60万円
•初年度に使えるのは60万円、残りの40万円は翌年度に繰越
翌年度に法人税額が十分あれば、残りの40万円も控除可能です。
ただし、繰越できるのは1年だけなので、翌年度の法人税額が少ない場合、控除しきれずに失効する部分が出てしまう可能性もあります。
〇 即時償却と税額控除はどちらを選ぶ?
経営力向上計画では、上記で案内した通り、
•即時償却(初年度に全額損金算入)
•税額控除(10%or7%)
このいずれかを選択できます。
利益の状況や将来の利益予想をシミュレーションして、どちらが良いかを検討するのが大切です。
この制度を利用する為には、担当となる省庁に経営力向上計画を提出し認定を受ける必要があります。
担当省庁の認定についても該当となる期中に受ける必要があるので、余裕をもった計画策定、提出が必要となってきます。
※認定には1か月ほど期間がかかります!
もし設備投資を検討していたり、この制度について確認したいということがあれば弊所スタッフにお問い合わせください。
荒井