新車購入時の会計処理 ― 資産計上と費用計上の違いを整理!

2025/12/05

日記

新車を購入した際、注文書には「車両本体価格」以外にも、オプション価格、保険料、税金、手数料など、さまざまな項目が並びます。
実際に、「どれを資産計上し、どれを費用計上すべきか分からない…」というご相談を受けることも少なくありません。

今回は、具体的な例をもとに、資産計上すべきものと費用計上できるものを整理してみましょう。

 

■ 新車購入の注文書(例)

 

項目

金額

車両本体価格 5,000,000円
メーカーオプション(付属品) 1,000,000円
自動車税 20,000円
重量税 50,000円
自賠責保険料 20,000円
任意保険料 15,000円
納車費用 12,000円
預り法定費用 10,000円
リサイクル法関連費用(うちリサイクル預託金14,620円、資金管理料380円) 15,000円
手続き代行費用 40,000円
割賦手数料(ローン購入の場合) 100,000円

                                  合計:6,282,000円

 

 

 

資産計上(車両運搬具)するもの

 

項目

金額

車両本体価格 5,000,000円
メーカーオプション(付属品) 1,000,000円
納車費用 12,000円
割賦手数料 100,000円
合計 6,112,000

 

 

ポイント:
カーナビやエアコンなどの付属品、納車費用、割賦手数料は「付随費用」として資産計上します。

付随費用とは、資産を取得するために直接必要となる費用のことです。
また、割賦手数料は本来「利息」としての性質を持ちますが、税務上は取得価額に含めます(一部例外あり)。

 

リサイクル預託金として計上するもの

 

項目

金額

リサイクル預託金

14,620円

 

 

リサイクル預託金は、将来の廃車時に発生する処理費用を前払いしているものです。
そのため、購入時には「預託金(または仮払金)」として資産計上します。

 

費用計上できるもの

 

項目

金額

自動車税 20,000円
重量税 50,000円
自賠責保険料 20,000円
任意保険料 15,000円
預り法定費用 10,000円
リサイクル資金管理料 380円
合計 115,380

 

 

費用処理のポイント:

  • 自動車税・重量税 → 「租税公課」または「車両費」
  • 自賠責・任意保険 → 「保険料」または「車両費」
  • 預り法定費用 → 「雑費」または「車両費」
  • リサイクル資金管理料 → 「雑費」または「支払手数料」

※「預り法定費用」とは、車庫証明や登録申請などにかかる行政手数料を指します。
注文書の中には「車庫証明代」「登録代行費」「下取引取費」などの名目で記載されていることもあります。

 

まとめ

新車購入時の支出は、すべてが費用になるわけではありません。
取得のために必要な費用(付随費用)は資産計上し、
維持管理や行政手続きなど取得後に関わる費用は費用計上するのが原則です。

また、リース契約や下取り、ローン購入など、支払方法によって処理が異なる場合もあります。

判断に迷ったときは、「その支出は“車を取得するためのもの”か、“取得後の維持管理のためのもの”か」
という視点で区別すると整理しやすいでしょう。

 

参考:

No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用|国税庁

第1款 固定資産の取得価額|国税庁

 

(木田)