2026/07/31
日記
2023年にスタートしたインボイス制度ですが、2026年10月1日より実務上の大きなターニングポイントを迎えます。当初の予定では、免税事業者からの仕入れに対する控除額が「80%」から一気に「50%」へ下がる予定でした。しかし、企業の急激な負担増を抑えるための税制改正が行われ、新たに「70%控除」というクッション期間が設けられることになりました。 「負担が減ってよかった」と安心するのも束の間、実は経理の現場では「計算の手間がさらに増える」と戦々恐々としています。この記事では、10月から始まる「70%控除」の仕組みと、今から準備しておくべきポイントを分かりやすく解説します!
何が変わった?インボイス経過措置の「新旧スケジュール」比較
当初の「2段階引き下げ」から、事業者への配慮として「4段階の緩やかな引き下げ(期間も2年延長)」へと変更されました。
〜2026年9月30日: 80%控除(現行)
2026年10月1日〜2028年9月30日:🔴 70%控除(今回始まるルール・2年間)
2028年10月1日〜2030年9月30日: 50%控除
2030年10月1日〜2031年9月30日: 30%控除
2031年10月1日〜: 完全に廃止(控除ゼロ)
💡 ここがポイント!一気に50%に落ちるショックは和らいだものの、引き下げの回数が増えたため、数年ごとにシステムの改修やルール見直しが必要になります。また、この措置は「免税事業者1者につき年1億円を超える取引」の部分には適用されなくなった点も要注意です。
【具体例】70%控除になると、税金はどう変わる?
控除割合が下がるということは、「買い手側の企業が負担する消費税が増える」ということです。110万円(税込)の仕入れを行った場合で比較してみましょう。
| 項目 | 80%控除期間(〜9月末) | 70%控除期間(10月〜) |
| 支払った消費税額 | 10万円 | 10万円 |
| 国から控除できる額 | 8万円 | 🔴7万円 |
| 自社が被る負担額 | 2万円 | 🔴3万円 |
同じ取引内容であっても、10月からは自社の負担が1万円増える(=控除額が減る)ことになります。免税事業者との取引が多い企業ほど、地味にボディブローのように利益を圧迫する要因になります。
経理担当者が最も注意すべき「9月・10月のまたぎ取引」
ブログの読者(経理担当者など)が一番知りたいのが「実務の注意点」です。特に9月と10月をまたぐ取引の判定がミスを起こしやすいポイントです。
税率の判定は、「お金を払った日」ではなく「実際に商品の引き渡しやサービスの提供が完了した日」で決まります。
商品の仕入れ:9月中に倉庫に届いたものは「80%」、10月1日以降に届いたものは「70%」になります。
サービスの提供(役務の提供):9月20日〜10月20日までの1ヶ月契約のコンサルティングなどの場合、完了した日が10月20日になるため、期間全体が「70%控除」の対象になります。
請求書の発行日や支払日だけで機械的に処理していると、税務調査で指摘されるリスクがあるため、現場への周知が必要です。
今からやっておくべき3つの事前準備
10月直前になって慌てないために、今すぐ以下の3つを確認しておきましょう。
1.会計ソフト・経理システムのアップデート確認
使用しているクラウド会計ソフトなどが「70%控除(および帳簿への記載要件変更)」に対応しているか、アップデートのスケジュールを確認します。
2.免税事業者の取引先リストの再チェック
現在、インボイス未登録のまま取引している相手(または最近インボイスを取り消したフリーランスなど)を洗い出し、10月以降にどれくらいコストが増えるか試算します。
3.帳簿の記載ルールの更新
経過措置を受けるためには、帳簿に「経過措置(70%控除対象)を適用する旨」を分かりやすく記載(※などの記号での管理も可)する必要があります。社内の処理マニュアルを更新しておきましょう。
変化に強い経理体制を作ろう
今回の「70%控除」への移行は、激変緩和という点ではありがたい改正ですが、実務の複雑さはむしろ増しています。
2026年10月の切り替え期をスムーズに乗り切るために、今からシステムと社内ルールの確認を進めておきましょう!
浅田