2025/04/23
日記
令和元年に国税庁より法人が加入する生命保険にかかる保険料の取り扱いを大きく見直す税制改正が行われました。
それまで、保険料の半分もしくは全額を損金に計上でき、更に解約金も高いという保険商品が企業にとって「節税」の効果を与え、多くの経営者が加入されておりました。
しかし、本来の保険の目的と逸脱した加入状況を是正すべく、新たな損金計上ルールを適用される方針が示されました。
【法人保険における損金計上の新ルールのポイント】
対象は「保険期間が3年以上の定期保険」または「第三分野保険」のうち最高解約返戻率が50%を超えるもの
・定期保険とは一定期間の死亡保障を確保し、満期時に生存保険金がないもの
・第三分野保険とはいわゆる医療保険や傷害保険と呼ばれるケガや病気による入院等により保険金が支払われるもの
・解約返戻率が50%以下の場合は全額損金計上できる
返戻率区分による資産計上と取崩しのルール
・最高解約返戻金が50%超の場合には以下のように返戻率に応じて計算する
▼返戻率が50%超〜70%以下の場合
▼返戻率が70%超〜85%以下の場合
▼返戻率が85%超の場合
②10年経過から解約返戻率がピークとなるまで
・取崩期間には、資産計上した保険料の累積額を期間に応じて取り崩して損金計上する
・資産計上期間と取崩期間に該当しない期間は当期に支払った保険料の額を損金に計上する
非常に複雑ですが、ざっくり言えば、解約返戻率が高いほど加入直後に損金にできる割合は低くなります。ただし、取崩期間に入れば全額損金計上が可能となるため、長期的には節税効果が期待できます。
また、上記に該当する契約のうち、最高解約返戻率が70%以下かつ被保険者一人当たりの年間保険料が30万円以下の保険契約の場合には支払った保険料の全額を損金計上することができますので、こちらもポイントとして押さえておきましょう。
このように、今後法人で加入する定期保険や医療保険は、最高解約返戻率によって資産計上の期間や資産計上割合が異なるだけではなく、一つの保険契約においても、その時期によって資産・損金計上する金額が変わってきますので、思い込みで会計処理をせず、毎年保険会社の設計書などを確認することが重要です。
参考:No.5364-2 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)|国税庁
福田