事業承継でよくある「株式の売買」と税金の関係

2026/04/10

日記

事業承継でよくある「株式の売買」と税金の関係

最近、事業承継に関するご相談が増えております。
その中でも特に多いのが、**「株式の売買に関する税金」**についてです。

株式の譲渡は、単純に「売った・買った」だけではなく、
**取引の相手(個人か法人か)や価格(時価との差)**によって課税関係が大きく変わります。

今回は、代表的なケースごとに整理してご紹介します。


(1)個人 → 個人への株式譲渡

■ 課税の考え方

ケース 売主 買主
高額譲渡(時価より高い) 贈与税(①) なし
低額譲渡(時価より低い) なし 贈与税(②)

■ ポイント

  • ① 時価を超えた部分は、売主が贈与を受けたものとみなされます
  • ② 時価より安い場合、その差額は買主が贈与を受けたものとみなされます

👉 個人間でも「時価との差」があると、贈与税が発生する点に注意が必要です。


(2)個人 → 法人への株式譲渡

■ 課税の考え方

ケース 売主(個人) 買主(法人)
高額譲渡 一時所得・給与所得(③) 寄付金・役員賞与(④)
低額譲渡 みなし譲渡(⑤) 受贈益(⑥)

■ ポイント

  • ③ 時価を超える部分は一時所得(役員等の場合は給与所得)
  • ④ 法人側では寄付金または役員賞与とされ、損金算入に制限あり
  • ⑤ 時価の1/2未満で譲渡すると、時価で売却したものとして課税
  • ⑥ 法人側は差額を受贈益として益金計上

👉 個人と法人の取引は、最も税務リスクが高いパターンです。


(3)法人 → 法人への株式譲渡

■ 課税の考え方

ケース 売主 買主
高額譲渡 受贈益(⑥) 寄付金(⑦)
低額譲渡 寄付金(⑦) 受贈益(⑥)

■ ポイント

  • ⑦ 時価との差額は寄付金とされ、損金算入に制限あり
  • 相手側では受贈益として課税

👉 法人同士でも「時価」が非常に重要になります。


(4)法人 → 個人への株式譲渡

■ 課税の考え方

ケース 売主(法人) 買主(個人)
高額譲渡 受贈益(⑥) なし
低額譲渡 寄付金・役員賞与(④) 一時所得・給与所得(③)

■ ポイント

  • 法人から個人への低額譲渡は、
     👉 役員賞与認定や給与課税のリスクが高い
  • 個人側も課税対象となるため注意が必要です

■ まとめ:株式譲渡で一番大事なポイント

株式の売買で最も重要なのは、
👉 「時価で取引しているかどうか」 です。

  • 時価より高い → 贈与・受贈益・給与課税
  • 時価より低い → 贈与・寄付金・みなし譲渡

といった形で、思わぬ税金が発生する可能性があります。


■ 事業承継では特に注意

事業承継では、
「親族間だからこの金額でいいだろう」
「会社との取引だから問題ないだろう」

と判断してしまうケースが多いですが、
税務上は厳密に時価ベースで判断されます。


株式の評価や適正価格の設定は専門性が高く、
誤ると大きな税負担につながる可能性があります。

👉 事業承継や株式の移動を検討されている場合は、
必ず事前に専門家へご相談ください。